NGSW 6.8TVCM の優位性 - 欠陥ではないブルパップ小銃

2022年4月19日追記
Next Genereation Squad Weapon の XM5、XM250 は Sig Sauer 案に決定した。


米軍が次世代分隊火器NGSW(Next Generation Squad Weapon) の選定を行っているが、Textron が入札を断念したとするメディアが米国とイタリアで出ている。事実であれば NGSW は SIG SAUER と General Dynamics の2案から選定されることになるが、私は General Dynamics 案に注目している。


欠陥ではないブルパップ

General Dynamics の NGSW、RM277 は機関部が後方に配置されるブルパップと呼ばれる形状だが、ブルパップは廃莢口が射手の頭部に近くなることが問題だとされている。しかし、ブルパップは銃身を延長でき、ガスの排出を前方で行えるため射手へのガスの被爆は AR 系よりも少ない。
近接戦闘等で左右での射撃ができないことを主張する者もいるが、利き手利き目でない方での射撃を強いられる状況はほとんどない。ブルパップの銃も肩当て位置、傾きを工夫すれば排莢の影響は軽減できる。
また、片手である程度保持できるブルパップは近接戦闘やマルチタスクで有利だ。銃線を維持しながら電子機器の操作、対象者を制しながらの射撃などブルパップ型は可能だ。
引き金部の機械的構造を問題とする者もいるが、これはトリガープルのベクトルをを機械的に矯正できるメリットでもある。将来的にはロッドに引き金圧を調整したり、電子回路などのオプションを組み込むことができよう。
ブルパップ小銃の運用は少数派ではない。ブルパップを運用してきた国が HK416 等のAR 系を配備し始めている例もあるが、後継小銃の製造が追い付いていないことが原因であろう。NGSW にブルパップが採用されることになれば、NATO 諸国もそれに追従するだろう。


ポリマー薬莢の優位性

True Velocity が製造するポリマー製の弾薬は、従来金属弾薬よりも30%ほど軽量となるだけでなく、銃身の加熱、銃火が抑制される、排莢が熱を持たないなどのメリットが多い。さらに 6.8 TVCM 弾は銃身を交換することで既存の7.62mmNATO を使用する小火器での発射が可能である。分隊支援火器案の RM277AR は箱型弾倉でベルトリンク式の SIG SAUER 案に火力で明らかに劣るが、銃身を交換した M240 等を配備できるとなると、SIG 案にはメリットがなくなる。General Dynamics の構想は、弾薬数を削減したいペンタゴンの要求に極めてマッチしているように思える。


自衛隊は取り残される

NGSW が実現すれば、自衛隊は危険な状況となるのではないか。中国はNGSW を警戒しているようで、5.8mm 以外の口径を複数運用している。95式を製造したノウハウからすぐにでも新型のブルパップ小銃を開発するであろう。他国もブルパップの運用経験を持つが、自衛隊だけがブルパップ型のノウハウがない。韓国ですら XK8 というブルパップ小銃の開発経験がある。普通科に 7.62mm の運用もなくなっており、有事には5.56mmの 20式ごときでは対処できなくなるだろう。
ACR、OICW、XM8 のように実現しないだろうとは考えるべきではない。陸上自衛隊の次期機関銃に FN MINIMI Mk.3 を採用し一部を 7.62mm 換填を前提に運用調達をすべきだ。オーストラリアとの交流でブルパップ型の小銃のノウハウをえることも必要となろう。
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