新小銃と新拳銃の懸念について - HOWA5.56 と SFP9

12月6日、防衛省が陸上自衛隊に配備する新型小銃と新型拳銃を選定したと発表した。
豊和工業の新型小銃と、Heckler & Koch の拳銃を選定したことはこれまでの実績を考えれば無難であろう。
個人的に懸念される点を挙げておきたい。


新小銃の懸念

新小銃は伸縮型銃床とレールを標準で備えており、申し分のないものである。
89式小銃の銃床はやや長すぎており、アーマー着装時には違和感を感じるであろう。
個人的には64式の方が銃床がわずかに短く、居銃しやすく感じる。
射手や装備に合わせ銃床を調整できることは有意ではあるが、個々に最適な位置を見出すのには時間がかかる。

レールは拡張性があるように思われるが、光学照準器以外は使用頻度が少ないのではないか。
被筒部あたりは既存の銃でも手に痛みが出てくるが、レールはさらに耐え難い。
レールカバーを装着してもレール間の隙間に違和感があり、私はカバーを好きではなかった。
レールには握把を装着することも可能だが、遮蔽物を利用した射撃の際に障害となる。
結局、弾倉基部を握って対応することが多くなるだろう。
一番の懸念は整備面である。レールの溝に泥が付着した際には既存の銃より整備に時間がかかる。
カバーを装着したり、必要に応じて脱着しようにもそれらの管理はどのように行うのか。

公開されている資料には樹脂製の弾倉のように見えるものがある。
弾薬が視認できる透明な弾倉については訓練時には有用だが、野戦においては弾薬の金属光沢が敵方に発見される要因になる。
従来の弾倉を使用するか、テープや塗装などで秘匿する必要があるので新型の弾倉については調達数など、検討すべき点があるのではないか。


新拳銃の懸念

SFP9 はすでに欧米で普及しており、命中精度の高さに評判があるようであるが、レバータイプの弾倉取り外し機構のモデルは個人的には危惧する点がある。
HK 社の Mark23 というモデルがこのタイプの機構であったが、居銃時に弾倉が外れたことがあった。
レバーが被服に引っ掛かり、重量のある弾倉が前方へ飛び出していった。
SFP9 では改良されているようだが、Mark23 は握把を握り込むとリリースレバーに中指が干渉し操作できなくなってしまう。
Mark23 は握把が大きく、親指で下方に押し込む操作は困難であった。そのうち自然と添えた手の親指か、引き金から人差し指を外して親指で押すか、人差し指で押すかという操作をするようになってしまった。
現行の SIG SAUER P220 のボトムリリースは時代遅れのように思えたが、弾倉を確実に脱着できるという利点がある。
また、左手で拳銃を射撃し続け、再装填をしなければならないような事態はそうあるものでなく、アンビレバーではなくボタン式のモデルを導入しても良いのではないだろうか。

Mark23 は消音器を装着する都合、照星が高く、加えてエッジが鋭く被服に引っ掛かることがあった。
SFP9 の照星も他のモデルと比較しやや大きく見える。
取り扱いについては注意が必要になるのではないか。

さらに Mark23 はレーザー照準とライトが装着できたが、Wilcox 社のモデルには問題があった。
レールにアタッチメントを装着しモジュールを固定するのだが、急に居銃するとモジュールが外れ前方に飛び出していった。
レーザー、ライトのスイッチは引き金下部に配置されるが、これも操作性が悪く、中指で点灯できない場合、人差し指を引き金から外して操作するか、添えた手の指で操作することが多かった。
新拳銃に光学機器を装着するのであればそれらの選定も慎重に行うべきだろう。

2018年にドイツベルリン警察がSFP9 TR の弾倉脱落と照準調整の不良を指摘したとの報道があったが、ベルリン警察も SIG SAUER P225 から切り替えており、同様の事態が導入当初に起こりえるのではないか。

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