鯨肉離れは止められるか

12月19日、日本経済新聞が鯨肉を取上げた記事を掲載した。
インターネットでは会員のみの有料制で、現在では該当記事も確認できない。図書館で誌面を確認したところ、内容は「止まらぬ鯨肉離れ」「在庫量は10年前の3倍」といった見出しに、東京のスーパーの小売店、女性会社員、中卸業者の声と東北大の石井准教授の指摘を取上げたものだ。

ナガスクジラの摂餌

在庫量を増したことは、捕獲枠を増したことも関わってくる。水産庁が発信している下記のPDFファイルを確認してもらいたい。

 鯨類捕獲調査の現状について
 http://www.jfa.maff.go.jp/j/study/enyou/pdf/shiryo2_4.pdf

2000年の南極海での捕獲枠はミンククジラ440頭だが、2005年には935頭の枠において853頭を、加えてナガスクジラ10頭を捕獲している。これは2004年までの第Ⅰ期調査を元に必要最小限の標本数として算出されたものだ。さらに北西太平洋でのミンククジラの捕獲枠も前年の160頭から220頭となっている。

鯨肉の消費が伸びていないのは確かだ。しかし、それは鯨肉に限った話ではない。牛肉もこの10年で消費量が30パーセント、魚介類も20パーセント落ち込んでいる。このような状況下において、鯨肉がまだ一定の消費量を確保できていることに注目すべきだろう。副産物の販売は年間約60億円となっており、市場規模は小さいともいえない。在庫は無駄というような見方がされているようだが、それは正しくない。在庫は財である。昨年度はシーシェパードの妨害でミンククジラの捕獲頭数はわずか170頭となっている。この不測の事態に対し、在庫があってよかったようなものだ。

水産庁や日本鯨類研究所が「シーシェパードのことばかり取上げておかしい」という識者もいるが、上記のファイルの「(財)日本鯨類研究所の経営状況」のページを見てもらえばその理由は見出せる。経常費用が経常収益を上回っている。シーシェパードの妨害を防げれば警備対策など、この経常費用を大きく削ることができるからだ。それだけで黒字は見込める。

「赤字だから即刻中止しろ」という話もおかしなものだ。民間企業においても何年も連続で赤字を出している企業はある。例えばソニーなどは4年連続で数百億円規模の赤字を出しているが、倒産していない。不正により巨額の損失隠しを行ったオリンパスも事業を即刻中止すべきだろうか。警察や自衛隊が黒字を生み出すことなどできるのだろうか。公益に投じられる税金は無駄ではない。

税金の無駄と槍玉にあげられてしまう南極海の調査捕鯨だが、まずはシーシェパードを排除し、副産物の販売を拡大することだ。日鯨研はまだ個人の賛助会員数を増やすことができるだろう。現在の300人程度はあまりにも少なすぎる。生物を研究する人ならば、過去のサンプルの重要性を理解しているだろう。今、日本が南極海の調査捕鯨を中止すれば、1900年代から連続性を持った南極海における鯨類のサンプルデータを失う事になる。商業捕鯨を再開できるのは何世代も先の話かもしれないが、人類、鯨類双方の為にも調査捕鯨は継続する必要がある。捕鯨問題に詳しい識者方はこのようなことをお考えになられないのだろうか。

ミンククジラ冊 ミンククジラステーキ
ミンククジラの赤肉。低脂肪高蛋白で鉄分も多い。生食もできるが、軽く焼いても美味。
個人的にはこの半分のサイズ、一人前食べきりサイズで販売してもらいたい。

クジラオバケ
さらし鯨。クジラの尾の皮を薄くスライスしたもの。
甘酢が合い、見た目もきれいなので女性にも受け入れられそうに思う。

イワシミンク盛り合わせとしゃぶしゃぶ
ベーコン(脂肪と肉)、さえずり(舌)、ひゃくひろ(腸)
上の盛り合わせは高額に感じるが、居酒屋でツマミを頼むよりは安く上がる。
一枚一枚が薄いが、不思議な食感を楽しめる。

クジラ缶詰
クジラの焼肉缶詰。
私の住む地域ではコンビニでもクジラの缶詰が手に入る。
震災直後の宮城県でクジラの焼肉缶詰のダンボールを目にしたとき、
鯨肉はけっして不必要なものではないと実感した。


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No title

WWF信者のブログにも書いたのですが、日経って経済の名を冠しながら、流通のイロハも理解してない馬鹿なのか、それとも故意に嘘を書いている反捕鯨プロパガンダ新聞なのかどちらなのでしょうね。

ttp://marburgaromaticschem.blog3.fc2.com/blog-entry-1850.html

前にも言ったけど「反対派の嘘を暴くマスコミが存在しない」のは痛いですね。
余っていないし、10年前より消費は増えているのに、どうして反対派は見え見えの嘘ついているとマスコミは非難しないのでしょうか?

それと補記しておきますが

>鯨肉の消費が伸びていないのは確かだ。

商業捕鯨とは違うので捕獲数は増やせません。
捕獲サンプル数はあらかじめ調査のため決めた数
南極海クロミンク850頭 北西太平洋ミンク220頭しか獲っては駄目なんですよ。
これはかつて商業捕鯨で獲っていた数よりかなり少なく、そのため要望の多い一部地域(長崎とか下関とか)の小売店にしか行き渡らないのです。
だからこそ日本は強く商業捕鯨再開を訴えているのですけどね。

反対派が無茶苦茶な矛盾する主張をしているのがおかしいのですけどね。
擬似商業を行ってる・日常的に鯨を食べる人はほんの一部云々
商業じゃないからわずかな量しか流通してないのだってのに。

>シーシェパードの妨害を防げれば警備対策など、この経常費用を大きく削ることができるからだ。それだけで黒字は見込める。

いや商業捕鯨じゃないですから儲けてはいけないのですよ。
ちなみに商業捕鯨と調査捕鯨の一番の違いは、偏りのないようにランダムサンプリング捕獲を行ってることです。
(この違いを理解してない反対派は多い)
燃料経費がかさむランダムサンプリングをせず効率の良い獲り方をすれば黒字になりますよ。

詳細、ご指摘ありがとうございます。

マスコミも表立って批判ができないのだと思います。
反対派の方が自己顕示の為にマスコミに取上げられようとしているので、
反対派の矛盾や欺瞞をネットで指摘していくしかないのかもしれません。
マスコミもネットで裏を取ろうとするはずですので、効果はあるはずです。

たしかに儲けてはいけませんねw
他の畜肉の流通量と比べれば、価格はかなり抑えられていますし、
反対派の主張はおかしなものですね。
これらを可視化することはできないでしょうか。

No title

東京新聞でも1月12日朝刊で、鯨肉が余っていることを取り上げています。
小売店だけでなく、共同船舶のコメントも載っています。
www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2012011202000028.html

鯨肉と比べて数百倍も生産量が多い畜肉、魚介類とも消費量が減少しています。
物が売れない時代の中、10年前の在庫と比較する必要性があるのでしょうか。
すでに共同船舶は対策を行っています。
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危険なこと、汚れることが大好き
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