THE COVE ザ・コーヴ - 10年前の疑惑

解体新書「捕鯨論争」の参考文献一覧で目を引いたのは森下丈二氏の著作、なぜクジラは座礁するかだった。森下氏は THE COVE にも登場していたので印象に残っていた。著書は2002年の発行だが、ここに関連する文章があった。



 最近、クジラで問題視されたのは水銀汚染の例である。二〇〇〇年五月に開催された日本食品衛生学会で、クジラの肝臓を茹でたものから高濃度の水銀を検出したと発表があった。実はこの「クジラの水銀」は、沿岸漁業で捕獲された「イルカの肝臓」から出た水銀である。(第98項から)

 付け加えると、危険なのは人工的につくり出す化学物質の有機水銀であり、自然界に存在する水銀ではない。よく知られている水俣病の場合、原因となったのは人工的に作られた有機水銀(メチル水銀)である。無機水銀の危険性ははるかに小さい。現在、厚生労働省が沿岸水域で捕獲されたイルカ肉の水銀濃度調査を実施しているが、その水銀は無機水銀とみてよいと思える。
 そもそも日本人の毛髪を検査すると白人より時には二~一〇倍も、水銀濃度が高い。これは、日本が〝火山国〟の環境のために生じる現象である。
 日本列島は火山列島といえるくらい火山が多いし、海底火山もたくさんある。水銀はそこから排出され、自然界に〝漂って〟いる。そのため日本人の「水銀含有量」がそもそも高いのだ。毛髪から高濃度の水銀を検出するからといって、他国民より日本人の健康度が劣り、寿命が短いわけでもないのは、ご存知のとおりである。(第99項から)



森下氏はさらにこうも記していた。



 それは、日本の第一薬科大学と米ハーバード大、英グリニッジ大の「合同調査チーム」が、日本国内で販売されているクジラの肉を検査したところ、高濃度の水銀が検出された、という「事件だ」。(第103項から)



これらは重要な文章だった。「日本食品衛生学会」とイルカ&クジラ・アクションネットワークIKAN)と同住所に存在した「食品汚染を考える市民の会」と同時に検索したところ、その団体が2000年に有料で配布していた文章がヒットした。

 捕鯨論争
 http://www4.big.or.jp/~kyusoku/whalwar.htm

「イルカ肉には多量の水銀が含まれている」「イルカ肉は鯨肉に偽装され流通している」、THE COVE はこれと同じ主張を展開する。それもそのはず、IKAN はコーヴの制作に加担していたからだ。水銀を理由にした主張を展開する団体としてエルザ自然保護の会がある。これも制作に関わっていた。

 THE COVE ザ・コーヴ - 外国人活動家を招き入れる日本人②


THE COVE は「イルカ肉により第二の水俣病がもたらされる」とも主張しているが、水俣病は世界的にも珍しい水俣湾という閉鎖された海域に人為的に有機水銀を排出され、それを蓄積した魚介類を人々が摂取してしまった悲劇的な結果であり、鯨類の肉を摂取することとはメカニズムが根本的に異なる。

森下氏によれば、水産庁として追試を行うために標本の提供を要求したが、検査した側は応じなかったという。

THE COVE の疑惑に関しては、岩谷文太氏のブログが非常に参考になる。

 『ザ・コーヴ』の演出と虚偽 (2) ~水銀汚染神話の嘘
 http://redfox2667.blog111.fc2.com/blog-entry-265.html

10年前と変わらぬロジックで水俣病とイルカ猟を結びつけただけでなく、出演者の社会的信用すらも貶める映画で名声を得た者がいる。私はこれらの活動を放っておくつもりはない。

カマイルカ
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亡霊のごとき妄説

全く都合のいいデータだけで物事を語る偏執狂には困ったものだ。

Re: 亡霊のごとき妄説

森下氏は2002年にコーヴへの反論をしていたのです。
ようは後出しじゃんけんです。

ですので反捕鯨のトレンドは変化しています。
絶滅危惧から汚染問題へ、汚染問題から外交問題へ。
関係者の言質を後から批判するゴロ行為です。
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D'z(ダイズ、ディズとでも)
危険なこと、汚れることが大好き
サメ野朗。

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