鯨肉の在庫量にまつわるプロパガンダ

前回、鯨肉の消費量だけが極端に低下しているのではないと検証した。もう一つのプロパガンダは鯨肉の在庫量を根拠としたものだ。

「鯨肉不良在庫説」は産経新聞や朝日新聞などで2006年に発信された。発信元はイルカ&クジラ・アクション・ネットワークIKAN)だ。この内容が個人のブログなどで取上げられ、9月には讀賣新聞やJ-CASTがこれを記事とした。

J-CASTニュースは「ビジネス&メディアウォッチ」の名の通り、さらに突っ込んだ内容を掲載していた。なぜかこの内容を第57回国際捕鯨委員会に報告したとするグリーンピースジャパン(この誤報は後に訂正された)と水産庁の双方を取材していた。

 J-CASTニュース
 クジラ在庫 「ダブつき」の真相

 http://www.j-cast.com/2006/09/14002955.html?p=1

一方読売新聞は鯨肉消費拡大の課題についてまで検証していた。この時点で日本鯨類研究所は鯨肉供給量を7000~8000tにまで増やすことを発表していたことは興味深い。

 YOMIURI ONLINE
 クジラ、どんどん売り込め!

 http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/news/20060905gr01.htm


「鯨肉不良在庫説」はウィキペディア鯨肉の項目を見れば懐疑的にならざるを得ない。

 ウィキペディア日本語版
 鯨肉・現在の流通・日本での流通・供給過多との指摘

 http://ja.wikipedia.org/wiki/鯨肉

同じくウィキペディアの在庫の項目を見てみよう。

 ウィキペディア日本語版
 在庫

 http://ja.wikipedia.org/wiki/在庫


 在庫(ざいこ)とは、企業・商店などが加工や販売するために保有する原材料・仕掛品・製品あるいは商品などの財貨を指す。

 需要の急激な変化や生産過程における異常な消費(内部不良など)、供給元の不慮の災害、搬送品の滞留(港湾ストなど)などによる生産停止が現実に起きており、これらのリスクを回避するために安全在庫の積み増しが行われる。

 流通業においては在庫は必ずしも悪とされていない。


在庫は無駄ではなく、資産である。消費者には「在庫」という言葉には「在庫処理」「不良在庫」というイメージがあるのだろうか。会社に勤めている人間ならば、顧客のニーズに対して「在庫がない」という返答こそ致命的なことであることを理解していても良さそうなものだ。

他の魚介類や畜肉は、需要に対して大量に生産した物を毎日捌き続けて事業を継続するフロー型ビジネスと言えよう。フロー型ビジネスでは在庫を抱えない。鯨肉の場合、販売が見込まれる特定の地域に公平に分配することを目的とした今の販売形態は、特定の顧客から長期的に売り上げを得るストック型ビジネスに共通するものがある。さらに調査捕鯨後にもたらされる入庫が実質年2回しかない。在庫がなければ事業すら成り立たない。事業を継続するには常に在庫を抱え、拡大するには在庫を増やす必要がある。

需要が見込まれず、不良在庫を抱えた場合どうするか。価格を下げて販売してしまうか、廃棄してしまえば良い。これは物を生産する企業が恒常的に行っていることだ。


捕鯨は衰退してきたが、多様性を求められる現代社会において、調査捕鯨はまだ継続する価値がある。それは副産物の鯨肉だけではない。調査捕鯨を行う機関は魅力的な資産を持っている。多様性を求められる現代社会において、それはビジネスチャンスとなるかもしれない。そのことに関係者は気付いて欲しい。

(財)日本鯨類研究所 提供
(財)日本鯨類研究所 提供
1998年12月7日 第一京丸にハラスメントを行うグリーンピース。

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