鯨肉の消費量にまつわるプロパガンダ

AFP通信が2010年3月4日に発信したおもしろいグラフが検索でヒットした。

AFP BB ニュース解説画像
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2705226/5439715

以下はAFPが作成したグラフの数値を表計算ソフトに入れ出力したものだ。AFPのグラフと同じものだと考えてもらってよい。

クジラの捕獲数と消費量

これはおもしろいグラフだ。なぜなら日本人の鯨肉摂取量と捕獲頭数との関連が不明だからだ。さも「日本人は鯨肉を一日平均0.1gしか食べていないのに年間1000頭もクジラを捕殺している」とでも言いたそうだ。

まず、日本人の食生活における鯨肉のグラフがいつのものなのか明記されていない。出典が厚生労働省であるため、調べればわかるだろう。

次にクジラの年間捕獲数を並べた意図が不明だ。消費量に対しては生産量、重さを単位としたグラフを並べるのが普通だろう。

このグラフからさらにおもしろいことがわかる。鯨肉の年間消費量だ。0.1gに365日を掛け、さらに日本の人口を掛けると年間消費量が得られる。仮に日本の人口を1億人だとすると、3650tとなる。豚肉はどうだろうか。ゆうに100万tを超える。では生産量はどうなのか。ここであの見にくいグラフの登場だ。

IKAN
急増するクジラ肉の在庫と“遊水池”みたいな隠れ在庫の出現
~統計から外された冷凍庫 アイスランド産ナガス肉~

http://homepage1.nifty.com/IKAN/news/110105.html
IKANグラフ

2004年の鯨肉の生産量は4000t。wikipedia によれば2004年度の国内豚肉生産量は88.4万トン、884000tである。さらに輸入豚肉は国内生産量に匹敵する86.2万トン、合計で1746000tである。436倍も生産量が違うものを比較して「鯨肉の消費量は少ない」などと主張するのはおかしな話だろう。

「鯨肉の消費量が少なくなってきている」のは確かだ。しかし、牛肉も2000年から2009年までに消費量が30パーセントも落ち込んでいる。BSEや口蹄疫、鶏肉も鳥インフルエンザで買い控えがおきた。魚介類もこの10年で20パーセント消費量が落ち込んでいる。鯨肉の場合、消費量が低迷し始めたのは2007年。この年に何が起こったか?サブプライム問題による世界的な不景気。前年に比べ生産量が減少。シーシェパードが Steve Irwin を投入し本格的に妨害活動を開始。これらを考えれば、鯨肉の需要だけが低迷しているとは考えにくい。逆に生産量と消費量がほぼ同等で安定しているとも言える。

鯨肉の需要低迷を理由に捕鯨をやめさせたがる勢力があるが、これらは信用できない。「農水省が認めた」、「共同船舶が認めた」などと言葉尻を捕らえ自己主張をする者のやり方は社会運動標榜ゴロとなんら変わりはない。
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消費量がすくなくても

鯨肉の消費量が少なくても、捕鯨をやめる理由にはならない。消費の多いものしか食べてはいけない(供給してはいけない)というのはおかしな話で、そういってしまえば、稀少食材はすべて喰えなくなる。
食生活のバランスやバラエティは、栄養学的にも、文化的にも好ましいことであり、需給バランスによる価格とコストバランスが取れる範囲であれば、継続されるべきだろう。
調査捕鯨は、研究という目的とIWCに対する科学的データ提示による商業捕鯨再開の手段として行ってきたもの。本来は沿岸捕鯨など低コストの手法にするべきかも知れないが、その議論と捕鯨は人道にも取るからやめろという議論は全く異なっている。ましてや、その抗議活動のために盗みを働くというのは、日本のような遵法精神の強い国では、到底受け入れられない。

Re: 消費量がすくなくても

鯨肉の場合、畜肉とも魚介類とも違った特殊な流通形態をとっています。
捕鯨モラトリアム後、極限まで削減された鯨肉の流通が現在まで維持されていることは奇跡とも言えます。
悪質な抗議を一蹴するためにも、今後はもっと人々が受け入れやすい広報の仕方を考えていくべきなのかもしれませんね。
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危険なこと、汚れることが大好き
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