20式5.56mm小銃の懸念について - 89式小銃と64式小銃を再評価
防衛省が陸上自衛隊に配備する20式小銃を発表してしばらくたつが、個人的に20式小銃には懸念を持っている。
銃身長の問題
20式は89式よりも銃身長が大幅に短縮されているものの、有効射程は長いと発表されている。
銃身長が短いと閉所での扱いに有利であることもあるが、発射炎が大きくなることが懸念される。
米国陸軍のM249機銃の銃身を短縮したパラトルーパーモデルについて、飯柴智亮氏は Arms MAGAZINE に 銃身が短縮されたことにより発射炎が大きくなり自らが標的になりやすくなる 旨を寄稿していた。
発射炎の増大は暗所では照準にも影響する。暗視装置を使用した際、発砲炎が射撃に影響を与えないか検証が必要であろう。
槓桿が問題
やはり槓桿の構造に懸念がある。射撃時に大きく動作する槓桿は保持方法によっては指を負傷したり、偽装用の繊維を巻き込みかねない。
米国海軍特殊部隊の隊員も20式と同構造の SCAR についてこの点を不満としているようである。
銃右側面でしか槓桿を操作できない89式の構造は意外に優れており、射撃時に排莢口のクリアランスも確保できる。
中国人民解放軍の新型小銃 QBZ-191 も右側面にレバーがあるがレバーは排莢口の下部にあるため手指に干渉しにくい優れた構造となっている。
私は左右から操作可能な64式の構造が好きである。
排水性は銃の能力を左右しない
20式は 排水性が向上した とメディアは報じているが、この報じ方には違和感を覚えている。
小銃に防錆性は必要だが、排水性を求める必要があるのか。小銃を水中にもっていかねばならないような状況を前提とした運用は誤りである。我が国は島嶼奪還のために海上からの上陸しか手段がないと発表しているようなものであり、20式の開発が島嶼防衛を意識したとしたのであればこの発表の仕方は失敗だ。
M-Lok はグレネードランチャーを装着できるのか
20式公開時に Pietro Beretta の40㎜擲弾発射器 GLX160 も展示されていたが、これについても懸念がある。
M-Lok のレールでは強度不足で発射器を装着、発射することはできないのではないか。
擲弾発射器についての情報は公開されていないが、運用するのであれば専用の下部被筒が用意されていることを願う。
89式と64式を再評価
89式や64式は構造上の問題を指摘、批判されている。拡張性に乏しい、切り替え機構の構造に問題があるなどと言われているが個人的にはこれらは問題とは考えていない。
切り替え軸に関しては引き金の指を外さず常に操作ができる AR 系や HK 系の構造が理想のように言われているが、私個人は89式や64式のものに問題を感じていない。状況に応じて切り替えておけば良いのであり、切り替え時には引き金から指を外すので暴発も防げる。
89式は構造上 AR 系より反動が大きいようだが、構造が単純で良い。左右非対称の構造も欠点ではなく、左肩での射撃も手を入れ替えないパーシャルトランジションを行えば安定する。利き手でない方で長時間射撃するような状況は多くなく、アンビ構造である必要はない。
64式は銃床が短く長さのわりに構えやすく、閉所でも戦える。照門や照星が意図せず可動したとしても近接戦闘では目測で照準が可能な構造となっている。
5.56x45mm では対処できない状況で 7.62x51mm の64式が必要となることもあるのではないか。
弾薬の完全互換を求める識者もいるが、64式が現存していることは 5.8x42mm の弾薬を更新できていない中国に対する抑止力ともなろう。
20式が89式や64式のすべてを代替できるものではない。
異なる機能と性能を有する火器を適切に配備してこそ強力な部隊を編成できるであろう。
銃身長の問題
20式は89式よりも銃身長が大幅に短縮されているものの、有効射程は長いと発表されている。
銃身長が短いと閉所での扱いに有利であることもあるが、発射炎が大きくなることが懸念される。
米国陸軍のM249機銃の銃身を短縮したパラトルーパーモデルについて、飯柴智亮氏は Arms MAGAZINE に 銃身が短縮されたことにより発射炎が大きくなり自らが標的になりやすくなる 旨を寄稿していた。
発射炎の増大は暗所では照準にも影響する。暗視装置を使用した際、発砲炎が射撃に影響を与えないか検証が必要であろう。
槓桿が問題
やはり槓桿の構造に懸念がある。射撃時に大きく動作する槓桿は保持方法によっては指を負傷したり、偽装用の繊維を巻き込みかねない。
米国海軍特殊部隊の隊員も20式と同構造の SCAR についてこの点を不満としているようである。
銃右側面でしか槓桿を操作できない89式の構造は意外に優れており、射撃時に排莢口のクリアランスも確保できる。
中国人民解放軍の新型小銃 QBZ-191 も右側面にレバーがあるがレバーは排莢口の下部にあるため手指に干渉しにくい優れた構造となっている。
私は左右から操作可能な64式の構造が好きである。
排水性は銃の能力を左右しない
20式は 排水性が向上した とメディアは報じているが、この報じ方には違和感を覚えている。
小銃に防錆性は必要だが、排水性を求める必要があるのか。小銃を水中にもっていかねばならないような状況を前提とした運用は誤りである。我が国は島嶼奪還のために海上からの上陸しか手段がないと発表しているようなものであり、20式の開発が島嶼防衛を意識したとしたのであればこの発表の仕方は失敗だ。
M-Lok はグレネードランチャーを装着できるのか
20式公開時に Pietro Beretta の40㎜擲弾発射器 GLX160 も展示されていたが、これについても懸念がある。
M-Lok のレールでは強度不足で発射器を装着、発射することはできないのではないか。
擲弾発射器についての情報は公開されていないが、運用するのであれば専用の下部被筒が用意されていることを願う。
89式と64式を再評価
89式や64式は構造上の問題を指摘、批判されている。拡張性に乏しい、切り替え機構の構造に問題があるなどと言われているが個人的にはこれらは問題とは考えていない。
切り替え軸に関しては引き金の指を外さず常に操作ができる AR 系や HK 系の構造が理想のように言われているが、私個人は89式や64式のものに問題を感じていない。状況に応じて切り替えておけば良いのであり、切り替え時には引き金から指を外すので暴発も防げる。
89式は構造上 AR 系より反動が大きいようだが、構造が単純で良い。左右非対称の構造も欠点ではなく、左肩での射撃も手を入れ替えないパーシャルトランジションを行えば安定する。利き手でない方で長時間射撃するような状況は多くなく、アンビ構造である必要はない。
64式は銃床が短く長さのわりに構えやすく、閉所でも戦える。照門や照星が意図せず可動したとしても近接戦闘では目測で照準が可能な構造となっている。
5.56x45mm では対処できない状況で 7.62x51mm の64式が必要となることもあるのではないか。
弾薬の完全互換を求める識者もいるが、64式が現存していることは 5.8x42mm の弾薬を更新できていない中国に対する抑止力ともなろう。
20式が89式や64式のすべてを代替できるものではない。
異なる機能と性能を有する火器を適切に配備してこそ強力な部隊を編成できるであろう。
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