富士川の濁りの原因は何か - 早川水系の工事に注目

所属が変わり、再びこの地に戻ってきた。
昨年末より気になっていた、静岡県の富士川の汚濁について調査したい。

2020年2月3日、静岡県と山梨県は濁りの調査結果を発表したが、原因については記載しないとした。
昨年にはニッケイ工業株式会社等が土類を投棄していたことも発覚したが、両県は原因について明言を避けた。
静岡県側は雨畑川上流からの土砂流入の可能性について言及しており、これを確認することにした。

現在、私は水質調査キットやその権限を持っていないが、透明度を目視で確認することとした。
静岡県の蓬莱橋から山梨県の富士川大橋までを目視で確認した。
灰色がかった濁りは明らかに無機的な汚濁である。これが発表にあったように早川との合流地点まで続く。
これについては Google map の航空写真を見ても明らかである。

富士川早川合流

左方が早川、右方が富士川本流である。早川側から汚濁した水が流れ込んできていることが明白である。
富士川はこれより上流に行くにつれ青や緑を帯びた濁りへと変化していった。

早川沿いに移動すると、河川工事の多さに驚愕した。河川敷は重機や大型運搬車が移動できるよう埋め立てられており、本来の流域は完全に失われていた。これはニッケイ工業の投棄物の撤去作業とは異質のものに見えた。
雨畑ダムまでの道路、山梨県道810号雨畑大島線は狭く、崩落、転落、落石の危険性が高いこの道路を大型のダンプカーが往来する。
濁りは雨畑ダムでは終わらず、上流から濁った水が流れ込んできていた。雨畑湖では道路工事が行われており、さらの上流を確認したかったが時間の都合で切り上げた。

雨畑ダム

不法投棄が行われたニッケイ工業周辺は高低差があり沿道からは全景を視認することはできない。
雨畑ダムの水はすでに濁っており、さらに上流で汚濁があることが推測された。


山梨県側の調査には疑問

2020年3月31日、山梨県は調査結果をホームページに公表したが、私はこれに異を唱える。

雨畑ダムやニッケイ工業が原因と唱えられている中、なぜ雨畑川下流に調査地点を設けていないのか。
流量の調査も必要だ。流量の変化があれば、従来流れなかった粒子がウォッシュロードとなっている可能性がある。
雨畑川、早川では人為的に河川の流れが現在進行形で変えられている。環境基準以下の数値は免罪符とはならない。

サクラエビの不漁との関連について両県とも原因不明としているが、サクラエビは汚濁の影響を非常に受けやすい生物である。植物プランクトンの不足、粒子の過剰摂取による沈殿死、生物発光を視認できず生殖行動に影響がでていることなどだ。
サクラエビに限らず、河川を遡上する魚類にも影響がでていることも考えられる。魚類は嗅覚により生まれた河川に戻るものがあるが、急激な汚濁は魚類の視覚や嗅覚に影響し、遡上を妨げられている可能性がある。


富士川は、水の汚れが少ない、清らかな川です。

山梨県のホームページではこのように結ばれているが、果たしてそうであろうか。
漁業関係者の証言や過去の映像からはそうは思えない。
調査の継続と環境リスクの低減を両県には実行していただきたい。

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D'z(ダイズ、ディズとでも)
危険なこと、汚れることが大好き
サメ野朗。

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