ラスベガスで使用された銃器 - FN15 に Bump Fire Stock

10月1日に発生したアメリカ合衆国ネバダ州ラスベガスの銃撃事件の犯行現場の画像が報道され始めている。犯行に用いられた銃の一つは先の投稿のバンプファイアストックの装着が認められた。

この銃は被筒と銃口の形状から FNハースタル社の FN15 Sporting と思われる。これに SLIDE FIRE を装着、照準はEOTech モデル552 を搭載し、弾倉はSureFire社の100連装 High-Capacity Magazine を装填している。これらは特別な改造ではなく、市販品を取り付けただけのものである。


AR15 にSLIDE FIRE、EOTech、60連弾倉を装着し射撃するシューターのレビュー動画
動画のようにSLIDE FIRE の装着は容易であり、60連弾倉は何度も作動不良を起こしていることがわかる

SureFire社の弾倉は100連装を可能とするが、バネの圧が標準のものとは異なり半自動の射撃でも作動不良を起こす。犯行は計画的に行われたかのように見えるが、射撃の技術は未熟で極めて身勝手な男であったことが銃を見てわかる。

画像には複数の銃器の他、多連装の弾倉が十数個認められ、千数百発の実包が持ち込まれていたと考えられる。これだけの量の火器弾薬を持ち込むためにパドックは宿泊中に運搬を繰り返したはずだが、それを阻止できなかったホテル側のセキュリティも追及されるべきだろう。


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ラスベガスで使用された銃器 - 簡易な全自動化とは

10月1日にアメリカ合衆国ネバダ州ラスベガスの銃撃事件では多くの死傷者が出てしまった。公開された動画では発砲音が軍用の自動小銃より低サイクルで旧式の機銃と似ていた。犯人は半自動の小銃を改造した銃を所持していたと発表されている。


現時点で合法的な全自動化

半自動の小銃を自動化するには内部機構の部品を加工することで可能であるが、これは違法である。しかし、外装を交換することで擬似的に全自動に近い発射サイクルを得ることができる製品がある。


Slide Fire 社の製品紹介動画
半自動の小銃を全自動のように作動させている

米国で流通しているのはバンプファイアストック(Bump Fire Stock) と呼ばれる銃把と銃床が一体化した外装である。銃本体と銃把銃床を分離し、射撃時の反動を利用して射手に引き金を引かせ続ける簡素なものだ。本体が銃床を基に動くが全自動と変わらないほどの発射サイクルを得ることができる。
様々なモデルが販売されており、アーマライト系はもちろん、カラシニコフ系の他、半自動ショットガンに対応したモデル、ユーザーによる自作品もインターネット上で認められる。

産経ニュースはトリガークランクという引き金の改造部品を可能性にあげているが、これでは動画のような安定した射撃を得ることはできない。バンプファイアストックを装着した複数の小銃が使用されたと米国では報道されている。


規制はできるか

このような事件が起こる都度、規制についての議論が起こるが、バンプファイアストックの規制は難しいように思える。樹脂や金属の造形物を法令で取り締まるのは難しく、このようなものは個人でいくらでも作成が可能だ。ストックを使用せずとも、銃の保持方法で半自動でも全自動のように射撃できる技術もある。全自動の銃を所持した未熟な射手よりも、半自動の銃でも正確な射撃を行う射手の方が脅威である。


日本でも警戒が必要な高層階

この事件は日本国内のセキュリティにも課題をつきつけたといえよう。高層階からの射撃や投擲が無差別殺傷を可能とすることが実証されてしまったからだ。自動小銃でなくとも、簡素な投擲装置により爆発物を多人数が集まる場所へ発射されれば死傷者が複数出ることが想定できよう。



※10月3日、NHKで放送された ニュースチェック11 という報道番組では本事件の解説映像で、豊和工業が製造し自衛隊が使用している89式小銃の3Dモデルを使用していた。89式小銃がラスベガスで使用されたかのような映像は不適切である。本記事をもって、日本放送協会の同番組映像編集者には抗議する。

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