雲見くじら館

去る8月、学生時代のサーフィンの帰路、静岡県賀茂郡松崎町で見た「くじら館」を詳細を確かめるべく、11年ぶりに松崎町を訪れた。非常に興味深い史料が展示されていたため、随時紹介していく。

雲見くじら館
建物の3階が道路と面しており、車両を2、3台駐車することができる。受付は旅館などの案内所を兼ねており、入場料大人100円、子ども50円である。

雲見くじら館セミクジラ骨格
受付から階段を降り、2階が展示場となっていた。セミクジラの骨格標本の他、地元の民俗史料、捕鯨絵巻の写しなどが展示されていた。このセミクジラは1977年に雲見海岸沖で発見され、和歌山県太地町の人々により解体されたものである。この話でクジラを解体するということが困難な業であるということを改めて認識させられた。
過去には1階で食事ができたようだが、現在は閉鎖されている。

雲見セミクジラ碑
建物の近く雲見海岸に建てられた供養碑。セミクジラに 滄海院鯨音魚士(そうかいいんげいいんぎょじ) の戒名が与えられ、現在も花が手向けられていた。

雲見くじら館捕鯨絵巻雑魚
館内には当時の写真などの資料が多く展示されているが、個人的に最も興味深かったのが捕鯨絵巻の写しである。
ヒゲクジラ以外の小型鯨類やマンボウが特徴を捉えて描かれている。古式捕鯨ではヒゲクジラ以外にイルカも雑魚や外道として捕獲されていたのではないかということが推測できる。中央には シロ というアルビノか白変種のゴンドウクジラらしきものが描かれている。
(写真は一部トリミング加工)

この他にも多くの史料が展示されていたが、残念なのはそれらの劣化が激しいことである。展示物の一部が欠損していたり、手書きの文字が消え読むのが困難になっているものもある。東日本大震災以降、節電のためエアコンは使われていないようで、標本や写真の痛みが心配される。

もし、この地を訪れることがあったのなら、休憩がてら、このくじら館に寄ってみてほしい。もはや捕獲がかなわないセミクジラの貴重な骨格標本を見ていただきたい。

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ゴンドウクジラの集団座礁

スコットランド西部の Loch Carnan でゴンドウクジラ100頭が浅瀬に迷い込んだという報道があり、「クジラ 地震」のキーワード検索で当ブログを訪れる人が急増した。

Gigazine
クジラ約100頭がイギリス沿岸で座礁、1頭でも残れば仲間も残って全滅の危険も
http://gigazine.net/news/201100522_whales_stranding/

この記事では最初に岸へ向かおうとする Key whale の存在にも触れられているが、地震との関連を伝えてはいない。

私は鯨類の専門家ではないし、原因について調査できる立場でもない。しかし、今鯨類について研究している人々やこれから研究しようとしている人々の参考になればと思う。

ヒレナガゴンドウやコビレゴンドウは集団座礁をしばしば起こしている。他のハクジラと何が違うのだろうか。ゴンドウクジラ類は前頭部が前に突き出し、クチバシが短い種である。ラフバラ大学の David Goodson がディスカバリーチャンネルの撮影で興味深いことを述べている(The Ultimate Guide イルカ)。普段イルカは聴覚により情報を得ており、食料を探し回っているときのみエコーロケーションを使うというのだ。また、下顎の歯の並びがエコーロケーションの超音波の受信に関係しているという。鯨類は鼻腔で発した音を頭部にあるメロンと呼ばれる脂肪組織で屈折、収束させた音波を発する。音波の受信は下顎の骨と脂肪組織を通して内耳に伝えられると考えられている。

一方でヒゲクジラには下顎に脂肪組織が存在せず、ヒゲクジラは下顎を介して音を知覚していないと推定されている。

バンドウイルカとハナゴンドウの頭骨

上はバンドウイルカ、下はハナゴンドウの頭骨だ。バンドウイルカの顎は前方に突き出すように伸びており、歯の数も上下それぞれ50~60本の歯を供えている。ハナゴンドウは下顎に4~14本の歯を持つのみとなっている。カズハゴンドウは上下それぞれに40~50本の歯を持っている。顎が前方に伸びていない種に集団座礁の傾向があるように思う。Goodson が言うように下顎と歯の並びが音波の受信と関係しているのなら、ゴンドウクジラ類は他のハクジラよりうまく音波の情報を処理できていないのかもしれない。

ゴンドウクジラ類は集団で餌生物を追う。主に魚類や頭足類だが、日本近海のヤリイカは早春から産卵期に入り沿岸に集まってくる。また、水温や気圧の影響を受けて約10年周期で資源量が増減するという。2009年2月10日にフィリピンのマニラ湾で200頭のカズハゴンドウの集団座礁について世界自然保護基金WWF は餌不足が原因だと発表した。

The INQUIRER Network
WWF CHIEF SAYS
Hunger drove Bataan whale beaching

http://newsinfo.inquirer.net/topstories/topstories/view/20090430-202373/Hunger-drove-Bataan-whale-beaching


地震も鯨類の集団座礁も毎年世界のどこかしらで起こっていることなので結びつけるのは簡単だ。地震や地磁気だけでなく、水温や餌生物、鯨類の生態など追求すべきことは多くある。もっと連中や身の回りの事象について知る必要があるだろう。

期待の捕鯨とイルカ漁に関する情報サイト「くじらとーく」

素晴らしいサイトが登場した。福田へたれさんが制作されている「くじらとーく」というサイトだ。

くじらとーく kujira.tk
http://kujira.tk/index.php/news/index

まだ未完成のコンテンツが多いが、ページは非常に見やすい配置となっている。
何よりも心意気に惚れた。できる限りの手段を講じ、くじらとーくのコンテンツの充実を支援したい。

クジラと地震を結びつけるな - 毎年のように起こっている集団座礁

あまりにも鯨類の座礁と地震を結びつける投稿が多い。当ブログにも「クジラ 地震」のキーワード検索でいらっしゃる方が多い。

下記はフランス通信社(AFP)のニュースサイトにおいて「クジラ」の検索でヒットした海外のマスストランディング、集団座礁の記事を並べたものだ。

APF BBNews
http://www.afpbb.com/



2011年
 
3月18日
 オーストラリア タスマニア州ブルーニー島
 ヒレナガゴンドウ 31頭
 http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2791472/6981382

2月20日
 ニュージーランド スチュアート島
 ゴンドウクジラ(種不明) 107頭

 http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2786528/6846039



2010年

9月22日
 ニュージーランド スピリッツベイ
 ゴンドウクジラ(種不明) 約80頭
 http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2758980/6227278

8月
 記事なし
 ニュージーランド カイタイア
 ゴンドウクジラ(種不明) 63頭



2009年

12月28日
 ニュージーランド コルビル湾
 ゴンドウクジラ(種不明) 63頭

12月26日
 ニュージーランド フェアウェル岬
 ゴンドウクジラ(種不明) 105頭
 http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2678421/5095776

12月11日
 イタリア フォーチェ・バラーノ
 マッコウクジラ 9頭
 http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2674784/5033783

5月30日
 南アフリカ ケープタウン
 ゴンドウクジラ(種不明) 約55頭
 http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2608095/4206974

3月23日
 オーストラリア パース ハメリン湾
 ヒレナガゴンドウ、バンドウイルカ 約80頭
 http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2585398/3948663

3月1日
 オーストラリア キング島
 ゴンドウクジラ(種不明) 192頭
 イルカ(種不明) 7頭
 http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2577513/3872738

1月22日
 オーストラリア タスマニア州パーキンス島
 マッコウクジラ 約50頭
 http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2562229/3715676



2008年

11月29日
 オーストラリア タスマニア島サンディ・ケープ
 ゴンドウクジラ(種不明) 150頭以上
 http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2544336/3573026

11月22日
 オーストラリア タスマニア島アンソニーズ・ビーチ
 ゴンドウクジラ(種不明) 64頭
 http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2542410/3554378

5月21日
 セネガル Yoff-Thongor
 ヒレナガゴンドウ 81頭
 http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2394356/2954353



2007年

3月18日
 エクアドル ガラパゴス諸島イサベラ島
 種不明 12頭
 http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/science-technology/2197714/1430570



2006年

11月10日
 ニュージーランド ルアカカ マースデン・ポイント
 ゴンドウクジラ(種不明) 77頭
 http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2138134/1076265



2004年

11月28日
 オーストラリア キング島
 ヒレナガゴンドウ、バンドウイルカあわせて97頭




AFP で報道されたものだけでも、これだけマスストランディングは発生しており、そのほとんどはゴンドウクジラ類。これら集団座礁の直後に大震災が何度起こったか?ニュージーランドのクライストチャーチの地震と、東北地方太平洋沖地震のたった2例だけで「クジラが集団座礁したのは地震の前兆」とするのは浅はかだ。クジラの集団座礁と地震との関連を追求する前に、ゴンドウクジラ類の生態を追求するべきだろう。


クジラと地震を結びつけるな - 非常時だからこそ

「クジラ 地震」などのキーワード検索でこのブログにたどり着いた人にお願いがある。鯨類の座礁は地震の前兆や予兆だという文章をネット上に投稿しないでいただきたい。このような文章は今後集団座礁の報道があるたび、人々に無用な不安を与えかねない。鯨類の集団座礁はしばしば世界各地で起こっており、地震との関連は認められない。

ひとつ、例を挙げておこう。以下に1998年に出版されたクジラ・イルカ大百科(水口博也 262,263項)に掲載されている文章を引用する。



クジラの集団座礁
アラン・ベーカー Alan N. Baker

なぜ座礁するのか
 集団座礁(マス・ストランディング)とは、1度に3頭ないしそれ以上のクジラが海岸に座礁することをいう。じっさいにポッド、あるいは群れ全体が座礁することが多い。
 ふつうは外洋性の種に多く、沿岸近くに生息するもの(セミクジラやある種のイルカなど)は浅瀬で暮らすことに慣れているため、めったに座礁することはない。しかし、彼らでもときには潮流や波によって岸へ流されたり、引き潮どきに入り江に取り残されたりすることがある。
 集団座礁にはさまざまな原因が考えられるが、最初に座礁するのは、エコーロケーションに混乱をきたしたり、嵐に巻きこまれたり、あるいは病気や、出産がうまくいかなかった個体なのだろう。1頭あるいは数頭が座礁すると、彼らは社会的なつながりが強いために、群れ全体がいっしょに座礁してしまう結果になる。そのため、明らかに集団座礁する大部分の個体は健康だといっていい。
 いずれにしろ、集団座礁はふつう1頭が方向を見失って座礁することが引き金となる。そのとき、このクジラ(key whaleと呼ばれる)は、ほかのクジラが体を寄せて泳がざるをえなくなるような、何らかの声を発するのかもしれない。そして、こうした状況が、とりわけ傾斜がなだらかに続く浜や、潮の干満の差が激しい浅瀬で起こった場合、集まってきたクジラたちがいっせいに、引き潮になった浜に座礁することも起こりうる。あるいは、嵐のときであったなら、激しい波で浜にうちあげられることもあるだろう。

 (中略)

 座礁するのはもっぱらハクジラ類で、コビレゴンドウやヒレナガゴンドウ、オキゴンドウ、マッコウクジラといった種に多い。ニュージーランドでは225頭のオキゴンドウが集団座礁したことがある。また、シャチやハンドウイルカなど数種のイルカにも、ときおり集団座礁が見られる。

 (後略)


アラン・ベーカー◎30年にわたって南西太平洋および南極海で鯨類の生態の研究活動を行なう。ホンコンにあるオーシャンパークの、鯨類部門の科学アドヴァイザーをつとめる。ニュージーランド国立博物館のディレクターから、現在は同国の自然保護局の研究員。(引用終り)


アラン・ベーカーはニュージーランドの専門家だが、集団座礁と地震との関連についていっさい言及していない。

2005年ニュージーランド・フェアウェル・スピット
2005年12月20日、ニュージーランド南島フェアウェル・スピットのゴンドウクジラの集団座礁
http://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Whales_on_beach,_Farewell_Split,_South_Island,_New_Zealand.JPG


日本で発信されている情報としては、以下の宮本拓海氏のページがわかりやすい。

いきもの通信
[今日の事件]クジラの多量座礁は天変地異の前兆なのか?

http://ikimonotuusin.com/doc/128.htm


今年はニュージーランドの地震と、東北地方太平洋沖地震の発生前にゴンドウクジラの集団座礁報道があったために「クジラが地震を予知していた」というようなデマが飛び交っている。今日は twitter のような SNS の普及でこのようなデマがあっというまに拡散されてしまう。今一度お願いする。

鯨類の座礁は地震の前兆や予兆だという文章を安易に投稿しないでいただきたい。このような文章は今後集団座礁の報道があるたび、人々に無用な不安を与えかねない。

クジラと地震を結びつけるな

3月4日、茨城県鹿嶋市で起こったカズハゴンドウ52頭のマスストランディング(集団座礁)と東北地方太平洋沖地震とを関連付けて報じる件数があまりにも多いのでこの記事を投稿する。


過去の事例から地震との関連は認められるか

鯨類の集団座礁について、はっきりとした原因は分かっていない。もちろん、地震との関連も否定はできないが、集団座礁と地震が関連しているのならば、もっと前例があっていいはずだ。日本鯨類研究所がストランディングを記録しているので、マスストランディング前後に地震がないか調べてみて欲しい。

財団法人 日本鯨類研究所
ストランディングレコード

http://www.icrwhale.org/stranding0908.htm


ゴンドウクジラの生態に要因はないか

シャチを除くゴンドウクジラ類は集団座礁を起こしやすい生態を持っている。

・数十~数百の群れをなす
・頭足類を群れで活発に追い捕食する
・外洋を回遊し、通常浅海には近づかない

餌を追いながら浅場にたどり着いてしまい、エコーロケーションが機能しなくなる、慣れない波打ち際という環境で溺死してしまう、死んだ個体と群れをなそうとして打ち揚がってしまうということは考えられないだろうか。

2005年ニュージーランド・フェアウェル・スピット
ウィキペディアにアップロードされたパブリックドメイン画像
http://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Whales_on_beach,_Farewell_Split,_South_Island,_New_Zealand.JPG
2005年12月20日、ニュージーランド南島フェアウェル・スピットにゴンドウクジラ123頭が座礁した。ゴンドウクジラはしばしば集団座礁を起こしている。


毒化した餌生物による中毒は考えられないか

以下のページはストランディングの原因として、有毒植物プランクトンとの関連を挙げている。

ナショナルジオグラフィック ニュース
地震直後のイカの大量座礁は偶然か?

http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=56825227&expand#title

広島大学 - 閉鎖性海域を知る
HABとストランディング

http://home.hiroshima-u.ac.jp/hubol/biosphere/enclosed_sea/hab3.htm

毒化したプランクトンを食べた魚類を、イカのような頭足類が食べ、毒を蓄積した頭足類の群れをゴンドウクジラのようなハクジラの群れが捕食し、集団食中毒により異常行動を起こすということも考えられよう。

暖流である黒潮と寒流である親潮がぶつかり合う潮目では、栄養塩が水面に湧き上げられプランクトンが増殖する。これを追って魚類が集って漁場となり、ゴンドウクジラが餌場にしていることも考えられる。

ゴンドウクジラの集団座礁に季節性はないだろうか。南半球では2月~3月にやはりゴンドウクジラやマッコウクジラの座礁の報道を目にする。例えば、貝毒の原因となるプランクトンの出現は、海水温度が14℃前後となる4月中旬から5月にかけてピークとなるとされているが、2~3月にかけて沿岸で植物プランクトンが毒化しているということは考えられないだろうか。


クジラと地震を結びつけることの弊害

上のような文章を投稿したのは、「カズハゴンドウ 地震」「カズハゴンドウと地震の関係」といったキーワード検索をされている人々に考えて直してもらうためだ。鯨類の集団座礁について、はっきりとした原因は分かっていない。原因を追究するにはストランディングした個体のデータを蓄積していく必要がある。ところがどうしたことか、人々の関心はこれらサンプルを海に戻すことにしかない。学者や専門家の言葉に興味を示さず、俗説だけを取り上げる。

鯨類の集団座礁を終末論と結びつけるな

この状況下でシーシェパードらのような反捕鯨を掲げた連中がネット上で「日本の地震はイルカやクジラを殺した天罰だ」「虐殺者どもが津波で死ぬことを願う」などというような品性のない文章をfacebook や twitter などの SNS で拡散している。ここを読んでくださった方にはこうした悪質な投稿を助長するような投稿をしないでいただきたい。

カズハゴンドウのマスストランディング

4日、茨城県の鹿嶋市でカズハゴンドウ52頭のマスストランディング(集団座礁)があったようだ。

鯨類のマスストランディングの原因は判明していないが、歴史上にもコンスタントに起こっているようで人為的なものではないと思う。潜水艦のアクティブソナーが原因だとする説もあるが、100年も前の事象を説明することができない。
National Oceanic & Atmospheric Adminstration (NOAA)
ウィキペディアにアップロードされた1902年のアメリカ合衆国ケープコッド付近で起きたクジラの集団座礁の写真。ヒレナガゴンドウだろうか。
National Oceanic & Atmospheric Adminstration (NOAA)

マスストランディングには以下の特徴がある。

・遠浅の海岸で起こる
・ゴンドウクジラ、マッコウクジラのようなハクジラである

こうしたことからハクジラの生態に原因があるように思う。これらのハクジラは群れをなし、魚類やイカ等の頭足類を餌とする。鯨類は超音波を発しその反響を感受して周辺の状況を知覚する(エコーロケーション)。集団で餌を追いかけるうちに浅瀬に近づき、混乱状態となって波で打ち揚げられてしまうのではないだろうか。人為的に餌を与えられたサメが興奮状態に陥って狂乱索餌という行動を起こすように、ハクジラもこのような状況下で情報を処理できずに集団で混乱してしまうのではないだろうか。

茨城県では2001年と2002年にも2月に集団座礁が起こっている。茨城県の沖は親潮と黒潮の二つの海流がぶつかり合うところで、ゴンドウクジラの餌場になっていることも考えられよう。オーストラリアのタスマニア島やニュージーランドでもこの時期ゴンドウクジラやマッコウクジラの集団座礁が起こるようである。タスマニアやニュージーランドも二つの海流が交わる、島であるなど日本と環境が似ている。


「クライストチャーチのように地震が来る!」
「シーシェパードは何やってんだ!」

というコメントがあちこちで見受けられるが、そのような投稿は控えて欲しい。マスストランディングの原因として地磁気の乱れによるものという仮説もあるが、地震と関連があるのならもっと前例があってよさそうなものだ。シーシェパードはタスマニアでのマスストランディングの救助活動に参加しているが、標本を採取する研究者の行動を「残酷だ」と騒ぎ立てたり、自分たちだけ写りが良い写真を撮りまくったりしており、専門の人間からは批判がある。

もし、マスストランディングに遭遇したら、市役所・役場、最寄の水族館に連絡すると良いだろう。彼らは過去の事例から適切な対処方法を蓄積している。間違っても大手の保護団体に連絡してはならない。彼らはPRのために使う写真を撮りに来て作業の邪魔をするばかりか、「このような悲劇は人間の行いに起因する」と根拠のない情報を拡散するだろう。

漂着したザトウクジラのその後

16日、静岡県清水区蒲原に漂着したザトウクジラの報道があったが、その後はどうなるのか。気になり現地に行ってみた。

ザトウクジラ埋葬

ザトウクジラは埋められており、市により詳細が表記されていた。

ザトウクジラ メス 体長 8.5m
沖縄の名護博物館の要望により、骨格標本として利用することが決定

名護博物館は「名護・やんばるのくらしと自然」をテーマとしているようで、ヒートゥ猟(コビレゴンドウなど小型鯨類猟)の歴史など骨格標本を展示して紹介しているようだ。

危険な「クジラ=森林」説

前回取上げたキャプテン・ポテトヘッドの主張は、2月末に米国で行われていた 2010 Ocean Sciences Meeting で行われた Andrew Pershing の発表を基にしたもののようだ。BBC や Nature News で報じられていた。
これを取上げ捕鯨を非難する声もあるが、「クジラ=森林」として二酸化炭素問題と結びつけるのは誤りである。

Andrew Pershing は過去100年の捕鯨で放出された二酸化炭素を算出しているが、約13万平方キロメートルの森林の焼失と同等の量だという。この数字は日本の森林の5割を占める天然林の面積と同等である。(日本の森林面積は約25万平方キロメートル)。ボクは思った。100年でたったそれだけ?鯨類を絶滅にまで追い込んだ捕鯨オリンピックの期間を含めても島国一つの森林量に満たない。人間の経済活動による森林の焼失とは比較できないほどこの数字は小さい。

陸上では肉食獣を害獣として駆除し、草食動物を庇護してきた結果、砂漠化に歯止めがかからない。陸上の砂漠化は1年に九州と四国を合わせた6万平方キロメートルに相当するという。100年で600万平方キロメートルだ。クジラは肉食動物だが、性質は陸上の大型草食動物に近い。クジラが他の動物に与えている影響も知る必要がある。

二酸化炭素放出を防ぐために今やらなければならないことは、人間の経済活動を見直し、陸上の砂漠化を防ぐことだ。捕鯨オリンピックとは比べ物にならないほど規模の小さい捕鯨を止めることではない。「クジラ=森林」説は危険である。この仮説をまともに受け水産動物を二酸化炭素排出権と結び付けられれば漁業を行う国に打撃をもたらす。海の中の状況は陸上ほどはっきりしていない。識者の説だろうと慎重に受け止める必要がある。この仮説をもとに漁業や捕鯨を非難することなど言語同断である。

恐ろしくつまらない捕鯨関係のページ

シーシェパードのSI号と日本の第二昭南丸の接近がようやく報道された。英語圏でポール・ワトソンはこちらは放水していない、「セキュリティフォース」の追跡を受けているなどと自分の顔写真を添えながらノリノリである。一方的に放水を受けた船員の苦痛を酌んでやったらどうか。追跡されているのに第二昭南丸を前方からとらえた写真は一枚もない。

日本側は法整備を急いでいるようだが、その前に関係者は捕鯨関係のページを整備していただきたい。「水産庁/捕鯨班 水産資源の持続的利用を考えるページ」はすでにリンクが切れている。関連ページのほとんどは「食べること」と「調査に対する不法なテロリズム」を訴えるばかりで恐ろしいほどつまらない。この項目はポール・ワトソンが干からびないとえんえんと増え続ける。ホエールウォッチングのように、船上からクジラの身体の一部だけでも観ることが喜ばれるのなら、そうした写真をトップに飾って欲しい。クジラの全身を知るのであれば、それに基づいた正確なイラストや図を一般に広めて欲しい。捕鯨の必要性を広める前に、クジラやそれらが棲む海を知ってもらう必要があるのではないか。
プロフィール

D'z

Author:D'z
D'z(ダイズ、ディズとでも)
危険なこと、汚れることが大好き
サメ野朗。

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